9歳になったら日本で?

皆さん、こんにちは。
ニュージーランドのクライストチャーチ市にある、海外在住日本人子女指導専門塾のNZ寺子屋塾です。
今日も私たちのブログを訪れてくださり、本当にありがとうございます。
今回は「9歳から日本へ」という考え方について考えてみたいと思います。

あなたはどこかで、9歳位から日本で学ぶといいという話を聞いたことがあるかもしれません。
私も以前耳にし、ずっと気になっていました。
というのもその根拠がはっきりしないからです。

あなたは9歳が特別の年齢であることを御存じですか?
9歳は小学3年生。
この年齢では教育上も特別の配慮が必要になる年齢。
日本語学校に行っている場合、小学3年生から急についていけなくなる生徒が続出するのも、実はこの9歳の壁が原因です。

では9歳に何が起こるのでしょう。
それは精神的自立が本格化し、子供が自他の区別をするようになる年齢なのです。
幼い子供は自分と他人の間に明確な区別を置いていません。
単純に好きか嫌いかという基準で区別しているだけ。
だから肉親でも居心地がよくなければ平然と拒否する半面、好きだと思えば他人でも平気で近づく。

でも9歳を越えるとそうではなくなります。
自分と他人、世界の内側と外側を「客観的」に判断するようになる。
すなわち、客観的な思考が始まるということです。
そしてそれは論理的思考の始まりでもあります。
日本では小学校3年生から理科や社会が始まるのは、こうした理由も考慮されています。
というのも、理科や社会は自分たちの住む世界を客観的に見つめる学問だからです。

こうしたことから、学習指導要領では小3からぐんと学習内容が高度になります。
そしてその学習内容に耐えうるよう、小学校入学時から基礎固めを図っているのです。
この観点からすると、もし小3から日本で学ぶためには、それまでに十分な基礎を育成しておく必要があります。
小2[こちらのYear 3]までのびのび自由に育てて、小3から急に日本で学ばせる。
それはあたかも素敵な理想に見えるかもしれませんが、実際にやらされる子供からするとたまったものではありません。
基礎のないまま応用をさせられるわけで、その環境のギャップに苦しむことは火を見るより明らかです。
また論理的な文章を読むために、漢字や語彙の力は必須です。
考えるのは言葉を使って行うのですから、ネイティブの日本人の子と同レベルで話す・聞く・読む・書くの力をつけておくことが必須。
日本語補習校でやっているレベルぐらい、親の手助けなくすらすらできなければ、日本の学校に入って必ず苦労します。

海外に住む保護者の方を見ていて一番危惧する点は、各国教育のいいとこどりをしようとすることです。
残念ながら、どの国のシステムにも一長一短があります。
一体子供に何を与えたいのかを親自身がしっかりと見極め、そのためにどこのシステムがいいかを考える。
そうしないと子供は全部中途半端な教育だけを与えられ、その中で苦しむことになります。

子供のことを本当に思うのならば、何語を母国語にするのかしっかり決めてあげることがとても大切です。
バイリンガルに育てたいという気持ちはよく分かります。
しかしバイリンガルは環境で育つのではありません。
親の努力で育つのです。
親が安易に環境を変えることでバイリンガルに育てようという甘い考えは、子供をセミリンガルにする危険があるということを決して忘れないでください。
まずは母国語をしっかり定め、その習得を最優先する。
その姿勢を崩した瞬間、セミリンガル化が始まるといっても過言ではありません。

日本で働いている頃、私はたくさんのハーフのお子さんを見てきました。
その子たちは二つの祖国の間で精神的にも落ち着かず、英語も日本語も学年相応の力がない状態になるケースが少なくありませんでした。
そんな中でしっかりとしたバイリンガルになっていった子供たちもいます。
それは親がしっかり母国語を日本語か現地語かのいずれか一方にしっかり定め、まずはその言葉を十二分に伸ばすことに注力しながら、もう一つの言語は外国語としてキャッチアップしていこうというスタンスで臨んでいた子供たちでした。
つまり親自身が子供の言語教育にしっかり責任を持ち、きちんと家庭内でもその教育を行っていくからこそバイリンガルは育つのです。

9歳から日本に帰すのならば、また今住む場所に子供を戻すのは日本語が十分に身についてから(最低でも義務教育レベルは完ぺきになってから)です。
そしてその場合、現地語が大きく遅れることは覚悟しましょう。
(もちろん、日本で現地語を学習し続けることである程度キャッチアップは可能でしょう)
間違っても、現地語を忘れないように小学校を卒業したらまた戻ろうなどと都合のいいことを考えないでください。
それはあなたのエゴであり、子供をセミリンガルにするだけです。
親の勝手な思いで子供をつぶさないよう、心から祈るばかりです。

また日本の教育システムは9年間の義務教育で完結するように綿密に設計されています。
自由な思考を小学校で、専門的な知識の習得は中学校以降でという欧米式のシステムとは根本的に違います。
日本は義務教育全域にわたって段階的に知識の習得をすることに重点が置かれ、思考することはそれほど重要視されていません。
ですから小学校を日本で過ごした子供が欧米の学校に戻ってくると、この思考力が大きく遅れていて必ず苦労します。
この点も十分に留意して判断してほしいと思います。

最後に。
バイリンガルに育てたいなら、親自身が汗をかきましょう。
喧嘩しようが、嫌われようが、真剣に子供と向き合って下さい。
子を愛するなら、あなた自身が苦労をかって出なくてはなりません。
そして都合のいい考えを捨て、教育に近道はないと知って下さい。

あなたは知識はやや少ないけれど思考力がある西洋型の能力と、思考力はやや劣るけれど、知識が豊富な日本型の能力、どちらを子供に授けたいですか?
両者に優劣などありません。
どちらも社会に必要な能力。
もちろん両者を追うことが理想ですが、どちらか一方が優位になることは避けられません。
あなたはどちらを優先したいですか?
今一度ここでゆっくり考えてみてはいかがでしょうか?
私は子供たちが、その子に応じた一貫してぶれない教育を受けられることを心から祈っています。

それでは今回はこの辺で。
最後までお読みいただき本当にありがとうございました。
ニュージーランドのクライストチャーチ市にある海外在住子女指導専門塾、NZ寺子屋でした。

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